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ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

蘇れ、出版業界人

私たち、出版業界関係者の努力が足りない

共同出版業者の暗躍を許したのは、出版業界関係者の責任ではないだろうか

本が売れなくなって早10年が過ぎようとしている。

今や、生き延びることのみを考える出版社の何と多いことか。

大手・中堅出版社はリスクに怯え、知名度のある著者の確保に専念している。

さらには売れた本の類書を追いかけることに汲々としている。

「共同出版業者も共同出版業者なら、引っかかるヤツも引っかかるヤツだ」

嘲笑は聞こえて来ても、アンチテーゼを示し、現状を変える努力はしていない。

出版社としてのプライドを、嘲笑することでしか示せないとは、まったく情けない。


原点を忘れた出版社に存在意義があるのだろうか

「儲かるから」と始まった出版社は、ほとんど無いと思う。

本の世界に憧れて、本の世界に夢を託して出発した出版社が多かったはずだ。

私の周りにも「儲けを考えるなら出版以外のことをやる」と思っていた経営者が多かった。

そして現在、さらに本は売れなくなった。事業維持も大変だと思う。

そのような時だからこそ、何のために出版社をやっているのか考えて欲しい。

出版業界で事業家としては失敗ばかり繰り返して来た私が言うのもヘンだけれど。


本を作りたい人たちとの共同作業こそ

自費出版、商業出版を問わず、著者と編集者の共同作業で一冊の本を作ってきたはずだ。

売れるであろう著名人を追いかけるのが事業目的ではなかったはずだ。

リスクの少ない、売れた本の類書を追いかけるのが目的ではなかったはずだ。

事業の維持・継続が如何に大変かは痛いほど分かる。

従業員の生活を守るために必死で取り組んでいるのも理解できる。

ただ、何かが忘れられているような、一抹の寂しさを感じる。

何かを伝えたい著者と何かを求める読者を繋ぐのが、私たちの仕事ではなかったのだろうか。


本を作りたい人たちは増え続ける

大量生産・大量消費によって出版業界もまた成長してきた。

そのための画一化、万人受けを狙うベストセラー狙いに主眼が置かれるようになってきた。

必然的に、著名な著者を追いかけ、類書を追い求めるようになってきたように思う。

原点は斬新で創造的な本作りだったはずだ。世に問いたいという願いだったように思う。

本を作りたいと願う人たちが増えている。出版の世界の底辺に大きなうねりが寄せている。

著者と読者に依拠しない限り出版業界は成り立たない。その著者予備軍が現れている。


私たちが勉強不足、努力不足なのでは

もちろん相手は素人著者がほとんどだし、企画も原稿も稚拙なのも当然と言える。

プロ作家に比べれば、10倍以上の手間暇が必要だし、売れる可能性も極端に低い。

それでも様々な可能性が、次々と芽生えているように思う。

必要なのは小部数の出版を如何に効率良く、さらに完成度を高めることができるかだ。

大量生産・大量消費を前提としたアバウトな仕事の進め方では経費倒れは当然と言える。

より厳密な原価計算、より緻密な工程管理なしに小部数に見合った製作は不可能だ。

もう一度原点へ戻り、本作りの何たるかを考え、本を作りたい人たちと歩調を合わせたい。

きっと何かが生まれてくるように思う。


小部数出版に対応できる知識と知恵と経験を

新風舎や文芸社などの共同出版問題

7月に私も世話人に名前を連ねて『共同出版・自費出版の被害をなくす会』を立ち上げた。

11月には国民生活センターが「自費出版に関する相談が増加」と題して問題点を公表した。

4年近くに及ぶ私の取組みも、ようやく山を越えたように思う。

少なくとも新風舎や文芸社など共同出版業者の問題が多くの人の知るところとなった。

3年前『38万円で本ができた』を出版したとき、いずれはこのようになると予想できた。

共同出版問題が白日の下に晒されるのは時間の問題と考えていた。

それまでの間、一人でも被害者を少なくするのが私の役割と考えていた。

ただその過程で共同出版問題の指摘以上に大きな問題が出版業界にあると思い知らされた。

増え続ける本を作りたい人の増加に対応できない出版業界があった。


著者に正面から向き合える出版社を

新風舎や文芸社と50歩100歩のところに多くの出版社がある。

本を作りたい人たちをおだて上げて高額の費用を出させる共同出版業者。

出版社としてのブランドイメージを利用する出版社の自費出版部門。

契約のあいまいさや高額な費用など、やり方は違っても本質は同じところにある。

本を作りたい人たちに真摯に向き合う出版社の何と少ないことか。

出版業界人たちの業界知識のなさや本作りの知識のなさに愕然とすることが多過ぎる。

著者の高額なお金を預かって本を作るには素人同然の業界人が多過ぎる。

自費出版の宿命、小部数であるがゆえの原価管理の配慮、小部数であるがゆえの販売の方法。

どれ一つ取っても切磋琢磨しているように見えない。

これでは新風舎や文芸社と同じ穴の狢(むじな)と言われても反論出来るわけがない。

今求められているのは、著者に正面から向き合い、共に悩み共に考える出版人ではないだろうか。

そのために小部数出版の方法について本作りのプロとしての知識と経験を身に付けることが急務だ。


一つの試み

私は昨年、あえてJPS出版局を設立した。

自費出版業者がまた1社出来たと思われるのは覚悟の上での発足だった。

自ら範を示すことなしには、何も始まらないと思ったからだ。

来年には業界人を集めてのフォーラムもやらざるを得ないと思っている。

今から7年ほど前にも、私の連続セミナーの形で業界人の勉強会をやったことがある。

その時は、出版不況の中での小規模出版社の経営戦略がメインテーマだった。

10数社の出版社や印刷会社の役員が参加してくれた。

これからのテーマは、本を作りたい人に対応できる出版社のあり方だ。

出版業界で働く人たちに、ぜひ声をかけてもらいたい。

秦野へ来てもらうのもいいし、東京へならいつでも出向こうと思っている。



自費出版の仕事に正面から取り組んでみよう(JPS出版局からのお願い)

なぜJPS出版局を作ったか

当初はNPO団体として自費出版・個人出版を目指す方たちの支援組織作りを目指していました。

その過程で、自費出版・個人出版の受け皿となる事業体の少なさにぶつかりました。

大宣伝を繰り返す、いわゆる「共同出版」業者には問題点が多過ぎます。

それでは他の出版社ならばいいかというと、これまた「共同出版」業者と50歩100歩です。

本来あるべき姿の自費出版・個人出版の支援協力事業を新たに作らざるを得ませんでした。


同業他社・フリーの編集者たちに頑張って欲しい

本作りは著者と編集者やデザイナーがヒザ突合せ、知恵を出し合って行うものだと思います。

地域ごと、趣味や分野ごと、著者との身近なところでこそ、意思疎通も深まります。

JPS出版局の最終的な対象地域は私の編集室兼住まいの秦野市と本社を置いている南足柄市です。

今は全国の本を作りたい人を相手にしていますが、いずれは地域に特化したいと考えています。

全国の読者を対象にしつつも、小田急線沿線発の自費出版・個人出版の基地を目指しています。


協力できることはないですか

この間、幾つかの編集プロダクションやデザイン事務所との協力関係が実現しました。

在宅のフリーの方たちとの連係プレーも出来てきました。

デザインやDTPなどの仕事の依頼、私たちの販路の提供や印刷の受注や手配です。

それぞれのプロダクションやフリーの人たちの不足する分を埋めてきました。

地方の編集プロダクションに、遠隔地の著者、本を作りたい人の紹介もしてきました。


私たちの趣旨だけは分かって下さい

協力関係を結ぶための条件はありません。

真剣に本作りに向き合う業者・個人なら大歓迎です。

JPS出版局は仕事を発注する場合の単価表、受注する場合の見積基準を公開しています。

本を作りたい人と本作りの仕事に従事する人、双方が納得できるように基準を設けています。

本作りを受注するときの契約書、販売に関する契約書も、すべてオープンにしています。

ただし、著者の勘違いを誘うような勧誘の仕方、暴利を貪ることには協力出来ません。

著者あっての私たち、読者あっての私たちと理解して頂ければ一緒に歩むことが出来ます。


必要ならば、全国どこへでも出向きます

北九州・岡山・大阪・京都・名古屋・横浜・東京・仙台で本作りセミナーを実施して来ました。

本を作りたい人の参考にと『個人出版(自費出版)実践マニュアル』も発行しました。

NHKラジオからもゲストとして呼んで頂き、問題の一端を話させてもらいました。

本を作りたい人の応援が目的ですが、本作りを仕事にする人たちの応援も大切な課題です。

声を掛けて頂ければ、何処へなりとも飛んでいきます。


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